2006年02月23日

儘ならぬは浮き世...

むかし、喰うのも儘ならない頃、近所のスナックに出世払いでご飯を喰いによく通 っていた。 当時は渋谷に住んでおり...といっても、新宿区と中野区がすぐお隣だったので渋谷の僻地だったのだが、ま、とにかくそういう場所に住んでいて地域がら歌舞伎町をシマとする、こあ〜いお兄さん方のベットタウンにもなっていた所でもある。 そんなある日、いつものスナックで眼光の鋭い男性と知り合いになった。


よくよく話しを聞いていると、歌舞伎町を二分する組の片方の大幹部さんだと判明した。 
話題が豊富で頭の切れもすばらしく、カタギの人にはちゃんとわきまえて接してくれる紳士でその世界で流通している『紳士録』にも名を列ねる程の大物だった。一度、彼のシマに飲みに連れて行ってくれたことがあった。道中、それっぽい兄さん方が足を止め腰を90度近くも曲げて挨拶を掛けて来る... いっしょに歩いていたせいか、わたくしにも(当時は若造だよ!)ご丁寧に腰を曲げてきていた。さすがに少し引いてしまったが、それでもとても気持ちが良かった。

高級そーなお店に入りオーナーがVIP席を用意してくれる。
飲み喰いには金は掛からないから好きな物を頼めと言われ、恐縮しながらもフルーツ盛り合せなんぞを注文して、高級酒を味わう。そこでも、いろんな人間が声を掛けていく。

そんな彼をモデルにした邦画が今でもビデオレンタル屋で借りる事ができる。
タイトルは『竜二』(旧作の方です) 因みにラストで肉の特売シーンが出てくるが、スナック横の肉屋でロケーションを行った。 時は経て、スナックで彼の姿を見る事がなくなった...ママに聞いても消息は不明だと言う。
表と裏を行き交う彼に、何があったのかを知り得ることはできないが..。.


あの時、彼が囁いた言葉がとても印象に残った。

「ここで <歌舞伎町> 何かあったら、俺の名前を出せ」 と。

旧ソ連トカレフ
posted by ぽんしょん at 02:47| Comment(0) | TrackBack(0) | □ 儘ならぬは浮き世
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