先日、見掛けた時と印象が違う... それは、目の前に立っている彼女から見てとれる。
店に横付けされた黒塗りのセダン、老紳士とその女性には複数のボディガードが付いていた。明らかに絶対的なポストに就いている老紳士と彼女... ボディガードの男に指示を出す老紳士の顔は、ママと話す時のような温和な表情ではなかった。
常連の客たちがそれぞれの時を過ごしながら、気軽にこの二人に挨拶の声を掛ける。少なくとも、わたくし以外の人たちは何度か顔を合わせていて馴染みになっているようだ。
サイフォンからの香しい匂いが、喫茶も兼ねている店内に漂う。
夜間だと新宿から車で10分ほどの距離にあるこのスナックは、ひとときを過ごす場所としては最適なのであろう。当時、歌舞伎町ではチャイニーズが台頭してきた時期でもあり、よくテレビニュースを騒がしていた頃でもあった。
そんな状況下でのボディガード強化配備なのだと、後に知った...。
ゆったりと話し掛け、珈琲を飲み干す老紳士。
礼儀正しく、一歩引いた言動で対応する彼女... そこはスローな空間に包まれていた。
概ね予想がつく二人の関係。一時間ほどしてボディガードが老紳士に耳打ちをした.. もう時間切れなのだろうか? 老紳士はスナックを退出して車に乗り込んでいった...。
外で見送った彼女が再び戻ってくると常連客の方に席を移動する。
彼女の顔は、あの自転車を漕いでいた時の表情になっていた。目が合ったわたくしに、一緒にどうぞ!と、手招きと笑顔で招待してくれている。
断る理由もないので...。
外で彼女のボディガードが張り付いている。
これから飲み始める、姐さんを待ちながら... 煙草に火をつけた。
<つづく>

初めて書き込ませていただきます。
続きが面白そうですね。
おねいさん用に、ボディーガードを何人か(何人?)置いて、老紳士は車で去ったってことですね。
さて、老紳士は戻ってくるのか!?
こんにちわ!
コメントありがとうございます。
確か、おねいさん用に二人のタフガイが
残った記憶があります。
黒塗りニ台だったので...
計五〜六人くらいの警護で来ていたんではないかと...。